軽度のサビや初期の「もらいサビ」に~家庭用品を使った化学的・物理的除去~
表面に薄く発生したサビや、他の金属から移った「もらいサビ」(特にシンクなど)には、家庭にあるものが非常に有効です。
| 方法 | メカニズム | 適したサビ | 注意点 |
| クエン酸(またはお酢) | 酸性の力でサビ(酸化鉄)を溶かす(還元作用)。 | 軽度の赤サビ、もらいサビ | つけ置き(30分~数時間)が有効。処理後は必ず水で洗い流し、水分を拭き取ること。 |
| 重曹・歯磨き粉 | 含まれる研磨剤(非常に細かい粒子)の力でサビを削り落とす。 | 軽度の赤サビ、ステンレスの軽いサビ | 水でペースト状にして、スポンジの粗い面や歯ブラシで優しくこする。重曹はアルミには使わないこと。 |
| 還元型サビ取り剤 | シュウ酸などを主成分とし、サビ(Fe2O3)を化学的に分解し、水溶性の化合物に変えて除去する。 | 比較的頑固な赤サビ、もらいサビ | 塗布するとサビが紫色などに変化するものが多い。強力なため、使用後は説明書通りに中和・水洗いを徹底すること。 |
頑固なサビや広範囲のサビに~物理的除去(研磨)~
サビが深く、上記の方法で落ちない場合は、物理的に削り取る作業が必要です。
| 道具 | 特徴と効果 | 適したサビ | 注意点 |
| サンドペーパー | 粒子の粗さ(番手)を選べる。粗い番手(#80~#180)でサビを落とし、細かい番手(#320~)で仕上げる。 | 進行した赤サビ、広い面積 | 金属に深い傷をつけないよう、粗いものから徐々に細かいものへ変えていく。均一に磨くこと。 |
| ワイヤーブラシ | 力強くサビを削り落とせる。電動工具(サンダーなど)に装着するものもある。 | 非常に頑固で厚い赤サビ、ボルトなど凹凸のある部分 | 金属表面を深く傷つけるため、最終的な塗装や防錆処理が必須。対象の金属より硬すぎない素材を選ぶ。 |
| サビ消しゴム | 研磨剤が練り込まれたゴム。水を使わずに手軽にこすり取れる。 | 軽いサビ、部分的なサビ | 削る力が弱いため、頑固なサビには向かない。 |
赤サビの進行を止める~サビ転換剤(専門的対策)~
サビ取り後のメンテナンスとして、あるいはサビ取りが難しい場所の対策として、非常に有効な方法です。
| 方法 | メカニズム | 効果 |
| サビ転換剤 | 進行性の赤サビ(Fe2O3)に塗布することで、化学反応により非進行性の黒サビ(Fe3O4)に変化させる薬剤。 | 黒サビに転換させることでサビの進行を止めることかできる。 |
サビ転換剤を使う際のポイント
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浮いているサビは落とす: サビ転換剤を塗る前に、ワイヤーブラシやサンドペーパーでボロボロと浮いている赤サビ(浮きサビ)だけは軽く落としてください。緻密な黒サビに転換させるための下地を整えるためです。
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塗って放置: 塗布後、完全に乾燥させることで、赤サビが黒サビに変化します。
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上塗り: 転換後の黒い皮膜は強固な防錆効果を発揮しますが、さらに長持ちさせるために、その上から防錆塗料や仕上げ塗料を塗ることを強くお勧めします。
【重要】サビ取り後の鉄則!
サビを除去した金属表面は、非常にサビが発生しやすい無防備な状態になっています。
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除去後は、必ず水分を完全に拭き取り、乾燥させる。
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すぐに防錆剤(サビ止めスプレーや油)、またはサビ転換剤を塗布し、新たなサビの発生を防ぐ措置を行う。
この「除去」と「防錆」のセットが、サビ対策を効果的に行うための最も重要なステップです。
また、ソルプロ施工を同時に施すことで長期間のサビの抑制効果にもつながりますので、その際は是非ご検討ください。
