こんにちは!「便利屋クリップ」です。
皆さんの身の回りにある金属製品。長年使っていると、いつの間にか赤茶色や黒っぽい色に変化しているのを見たことはありませんか?それが「サビ」、つまり腐食です。
一言でサビと言っても、実はその金属の種類や発生した環境によって、色や性質が大きく異なります。今回は、私たちが日常で特によく目にする代表的なサビの種類を、見分け方のポイントと一緒に解説していきます。
◎赤サビ
赤サビは、皆さんが「サビ」と聞いて真っ先に思い浮かべるであろう、最も一般的で厄介なサビです。
特徴 | 説明 |
対象金属 | 鉄、鋼材(スチール) |
色 | 赤茶色、オレンジ色 |
性質 | ポーラス(多孔質)でスカスカ。水分や酸素を通しやすく、内部への腐食を進行させてしまう。 |
発生のメカニズム | 鉄が空気中の酸素と水分に触れることで酸化し、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となります。 |

見分け方と対策のポイント
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鉄製品が雨や湿気に晒されたときに発生します。
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放置するとどんどん内部まで腐食が広がり、最終的に金属がボロボロになってしまうのが最大の問題です。
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赤サビの拡大画像です。粉っぽい質感と、金属の表面が侵食されている様子が分かります。
- 対策: 表面のサビを完全に除去し、防錆塗料や油等で水や酸素を遮断することが不可欠です。その中でもソルプロは最適です
◎黒サビ
赤サビと同じ鉄に発生しますが、黒サビは赤サビとは全く逆の性質を持つ鉄を守るサビです。
特徴 | 説明 |
対象金属 | 鉄、鋼材(スチール) |
色 | 黒色、濃い灰色 |
性質 | 緻密(ちみつ)で硬い膜。内部への酸素や水分を遮断し、それ以上赤サビが発生するのを防ぐ「不動態皮膜」として機能します。 |
発生のメカニズム | 高温下で蒸気などと反応させて酸化第一鉄と酸化第二鉄の複合酸化物(四酸化三鉄:Fe3O4)として意図的に形成させることが多いです(例:黒染め処理)。 |

見分け方と対策のポイント
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鉄のフライパンの表面に形成された黒サビです。滑らかで丈夫そうな皮膜が見て取れます。
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鉄のフライパンや南部鉄器などでよく見られます。これらは意図的に黒サビを発生させて防錆しています。
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このサビは剥がさず、そのままメンテナンス(油を塗るなど)をすることで、鉄製品を長く使える状態を維持できます。
◎青サビ・緑青(ろくしょう)
「青サビ」という名前で呼ばれることがありますが、正確には緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビです。歴史的建造物にもよく使われています。
特徴 | 説明 |
対象金属 | 銅、真鍮(しんちゅう)などの銅合金 |
色 | 青緑色、鮮やかな緑色 |
性質 | 黒サビと同様に緻密な皮膜を形成し、内部の銅を保護する防食性があります。以前は有毒と誤解されていましたが、現在では無害であることが分かっています。 |
発生のメカニズム | 銅が雨水、二酸化炭素、硫黄酸化物などと反応し、塩基性炭酸銅(Cu2(OH)2CO3)などの化合物が生成されます。 |

見分け方と対策のポイント
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歴史的な銅像に形成された美しい緑青(青サビ)です。時間が経つにつれて深まる色合いが特徴です。
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大仏の表面や銅像、銅葺きの屋根などで見られます。時間が経つほどにこの美しい緑青が深まります。
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基本的に剥がす必要はありません。むしろ銅製品の価値を高め、保護してくれる存在です。
◎白サビ
鉄の表面を亜鉛でコーティングしたトタン板やメッキ鋼材によく見られるサビです。
特徴 | 説明 |
対象金属 | 亜鉛メッキを施した鋼材(トタンなど) |
色 | 白っぽい粉、あるいは灰色がかった斑点 |
性質 | 亜鉛が腐食することで形成されますが、このサビ自体がバリアとなり、その下の鉄を守る役割を果たします(犠牲防食)。 |
発生のメカニズム | 亜鉛が水分や塩分と反応し、主に水酸化亜鉛(Zn(OH)2)などが生成されます。 |

見分け方と対策のポイント
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亜鉛メッキ鋼材に発生した白サビです。白い粉状の物質が表面に付着しているのが見えます。
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カーポートの骨組みやフェンスなど、屋外のメッキ製品で、雨が当たりにくい部分などで特に見られます。
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白サビが出ても、メッキが完全に剥がれていなければ、その下の鉄が赤サビになるのを防いでいる証拠です。
サビは敵か味方か?
サビは一概に「悪いもの」ではありません。
✗赤サビ:厄介な敵(除去と防錆が必要)
❍黒サビ、緑青、白サビ:頼れる味方(金属を保護する不動態皮膜)
皆さんの周りのサビがどのタイプなのかを把握し、適切なメンテナンスを行うことで、大切な金属製品を長く、そして美しく保つことができますよ!